この取組みを行うことにした背景/理由
平成25年柏市において年間1,390件(1日約4件弱)の交通事故が発生しており、5人の尊い命が失われています。全国では平成24年4月以降、小学校通学路での登下校中の児童等の列に自動車が突入するという死亡事故が相次ぎ発生しており、交通事故の削減は地域住民の願いとなっています。
このような中、柏ITS推進協議会のメンバーでもある㈱オリエンタルコンサルタンツよりドライブレコーダーのデータをもとに、ドライバーへの安全運転支援サービスおよび行政の交通安全事業を協同でおこなう「柏市交通安全プロジェクト」の企画提案を受けました。
折りしも柏市役所は公用車を510台程度所有(水道部所管分等を除く。)していますが、ここ3ヵ年年間60件程度(ほとんどが物損事故)の交通事故を起こしており、事故削減が急務となっていることから、提案を受け入れることとなりました。
取組みの実施期間
平成26年11月~平成28年3月
取組み内容
公用車の事故削減と柏市域の交通事故削減という大きな2つの目的に対し、3つのアプローチで取り組むことにしました。
具体的には、ドライブレコーダーを設置した車両の事故を半減させる目標を立て、事故率が高い公用車を中心に(乗用車、救急車、消防車、ごみ収集車等を対象)の200台を抽出し、走行で得られたデータに基づき運転者の特性に応じた安全運転指導をおこないました。この安全運転の指導を実際におこなう公用車管理者に対しての講習会も合わせて実施しました。
また、位置データ、画像データ、加速度データ等からヒヤリ・ハットマップ等を作成し、市民と情報を共有し道路施設の改善等をおこない事故削減に繋げていくものです。
期待される効果
公用車の約41%、事故率からは約54%となる200台となる規模と実証期間が約1年半とある程度まとまった期間を継続的におこなうこと、データによる危険度の高い具体的事象について適切な安全運転指導を実施できることから、事故の低減が実現できるものとして大きく期待できます。
また、ヒヤリ・ハットマップを地域住民や学校等と共有することにより、地域に特性に応じた交通事故安の全対策が取れるものと期待しています。
取組み状況
[フェーズ1]ドライブレコーダーの映像を活用した講習会の実施
- 指導員(上長)に対する指導方法の講習、および職員の安全運転意識の向上を目的として、ドライブレコーダーで収集した映像を活用した講習会を実施(4回開催)
- 公用車のヒヤリハット件数がプロジェクト開始当初から1/3程度に減少。
[フェーズ2]ドライブレコーダーのデータを活用した、道路改善策の実施
- 公用車に設置したドライブレコーダーをもとにヒヤリハット多発箇所を抽出
- 同様の要因(交差点部において植栽の影響により見通しが悪い)によりヒヤリハットが発生していた「図書館前交差点」において、植栽の剪定(一部伐採)を実施